第11回 浅香工業株式会社

企業と行政のトップが対談。市内企業の魅力や思いを市長が聞き出します。
私たちの冬の生活に欠かせないショベルやスコップ。多くの人が一度は見たことがある「金象印」でおなじみの浅香工業株式会社の濱口支店長を後藤市長が訪問しました。
【後藤市長】
今回、浅香工業さんに対談をお願いしていたのは、私が昔から庭いじりをしていたことがきっかけです。スコップや農具を使っていて、スコップに「金象印」っていう印があるのを見ていたのですが、昔は何の印か分からなかったんです。
【濱口支店長】
使っていても分からないことはありますね。
【後藤市長】
自分たちが普段使っている道具がどこから出荷されているのか興味を持ってほしい、そして「金象印」の北海道支店が江別にあるということを皆さんに知ってほしいと思います。
【濱口支店長】
ありがとうございます。私たちもお客様の元に訪問する際、「浅香工業です」と伝えても分かっていただけないことが多いのですが、「金象です」と言うとすぐに「ああ、金象さんね」とご理解いただけます、ブランドの方が社名よりも先行している感じです。ただ、それもひとえに過去の先輩方の努力の賜物だと思いますので、今後も将来このブランドが長く続くよう日々努力しています。
【後藤市長】
御社のラインナップを見て、非常に多彩なことに驚きました。用途に合わせて形や幅を少しずつを変えているんですね。
【濱口支店長】
今はモノ余りの時代で、機能的にはほぼ変わらない商品もたくさん流通しています。また、人口が減少し、機械化が進んだことで、手で行う作業は減ってきています。その中で我々が取り組んでいるのが、実際に工事現場や建築現場に出向いて、現場の方々の生の声を聞いて商品に反映することです。その結果、変わったサイズ感の商品や、何に使うのかと思うような用途が特殊な商品も増えてきています。
【後藤市長】
現場の声を聞けば聞くほど、商品数は増えていくのではないですか。
【濱口支店長】
まさしくその通りです。10人いらっしゃったら10通りの要望があるので、そのすべてを全部形にすることは難しいですが、社内で「商品化できるのか」、「サイズ感や価格はどうか」といったことが議論され、商品ができあがります。ただ、現場の声を全部反映できているわけではないのが、一つの課題にはなりますね。
【後藤市長】
年齢が上がるにつれて、重い道具が持てないといった要望が出てくると思います。昔のスコップは重かったですが、今は使いやすくなっています。それは、現場の意見に基づいて議論して、製品に反映していくという企業努力の結果、商品の改善につながってきたのだと思います。それにより、一般のユーザーも恩恵を受けていると感じますね。
【濱口支店長】
おっしゃる通りです。今は商品の軽量化が求められていますね。我々の年齢も上がってきていますし、今の若い方々は重い製品をあまり使いません。弊社の大ハンマーも、昔は4,500gとか3,500gの製品が売れていましたが、今は小型化して2,500kgが主流になってきています。ハンマーひとつとってもそうですが、軽量化してきていると思いますね。
【後藤市長】
柄が曲がったショベルがありますが、これも現場の声から生まれたのですか。
【濱口支店長】
この商品を発売したのは5年前くらいになりますが、北海道立総合研究機構とご縁がありまして、共同で開発しました。当初は土砂災害の復旧作業に特化した商品として企画しましたが、北海道は土砂災害が少ないので、雪害対策として販売ということになりました。
【後藤市長】
曲がった柄は腰に負担がかかりにくいということですね。
【濱口支店長】
おっしゃる通りです。支点が高くなりますので、腰への負担軽減の効果が数値でも実証されています。国の機関や北海道立総合研究機構さんのお力添えがなければ、我々だけで効果の数値化は難しいですね。センサーをつけて一定の作業を繰り返して、初めて結果が分かります。
【後藤市長
実際に持ってみると全然違いますね。
【濱口支店長】
横から見ると腰の位置が10cmくらい高くなっています。1~2分の作業くらいでしたらいいのですが、10分以上作業を続けるとこの多少の違いで疲労の度合いが大きく変わってきます。酸素吸入量で約14%変わってくるという測定結果も出ています。
【後藤市長】
スコップ一つとっても、プロの方であれば使っているうちにすぐに先が丸くなるかもしれませんが、人によっては10年以上使うこともありますよね。そうなると、新しい商品を買ってもらいにくくなると思うのですが。
【濱口支店長】
そうですね。ただ、私たちも過去の諸先輩方が築いていただいたこのブランドがあっての商品だと思っていますので、買い換えを促進するために性能を落とすことはいたしません。
【後藤市長】
企業のプライドですね。
【濱口支店長】
本当にプライドです。確かに買い換えをしようと思った商品が実は10年前に買ったものかもしれません。ただ、弊社のユーザー層は、農家や建築・土木現場といった毎日使い込む方が多いです。「試しに安い商品を買ってみたけど使い物にならない」「やっぱり高くても信頼のある金象さんを使っている」と言ってもらえることはとてもありがたいです。
【後藤市長】
長く使えて使いやすい、それが最良の製品と言うことですね。
【濱口支店長】
私が入社して30年弱になりますけれども、かつては国内でショベルを製造しているメーカーが他にもありましたが、今は弊社だけになりました。海外に工場を移したメーカー、廃業してしまったメーカーがある中で、こういった企業努力を重ねることにより、弊社が国内で生き残ってる、生かしていただいていると言っていいのかもしれません。
【後藤市長】
形状は同じでも長さが違うショベルもありますね。
【濱口支店長】
これは去年リリースした商品ですが、女性ユーザーさんからの要望で誕生しました。園芸の展示会に参加したことがありまして、その中でユーザーのご意見として多かったのが、大型のショベルは重くて使いにくい一方で、小型ショベルは長さが短く、腰をかがめなければならない。頭の大きさは小型のままで長さだけ変えて欲しいというものでした。これもやっぱり現場の声なんですよね。
【後藤市長】
長さは違っても形状は同じなのですね。
【濱口支店長】
これも国内の工場で作っているからこそ実現できていると思っています。単純に柄を長くしても、てこの原理で負荷が増しますので、柄の強度を増す工夫をしています。
【後藤市長】
現場の声が製品づくりに生かされているのは素晴らしいですね。
国内で作っているからこそできるというのも、聞いてみて初めて分かることが多く、とても面白いです。
【濱口支店長】
ありがとうございます。この北海道支店は昭和47年に開所して、今年でもう54年になります。北海道全域を商圏にしながらも、江別のまちで地域に密着した営業を続けてきた結果、それだけの期間事業継続できたのだと思います。これにあぐらをかかず今後も精進していきます。
毎年参加している工業団地産直朝市に今年も出店させていただきます。ちょっと面白い商品も出せればいいなと思っておりますので、よろしくお願いします。
【後藤市長】
今日はお忙しい中ありがとうございました。個人的にもとても楽しい時間でした。おっしゃっていたように、現場の声を製品に反映できるというのは、自社生産しているからこそであり、大きな強みですね。私たちも何かアイディアがあれば提供したいと思います。
ありがとうございました。

